物理

水面を走るトカゲ、バシリスク。なぜ走れるのか分かりやすく解説【おもしろい流体力学】

こんにちは。ケンチーです。

コスタリカに生息するバシリスクというトカゲをご存知でしょうか。

実はこのトカゲ、水の上を走ることができるのです。

衝撃的な映像ですね

今回の記事では、なぜこのバシリスクは水の上を走ることができるのかを分かりやすく解説をしていきたいと思います。

付加質量」を利用している

バシリスクの秘密を解説する前に知っておきたい流体力学の概念として「付加質量」があります。

まずは付加質量とはなにかの説明をしていきましょう。

空気中に物体があると仮定します。

この物体を左方向に引っ張ることを考えます。

このように左方向に力を加えることで、物体は左方向に加速度を持ちます。

引っ張る力を2倍にすれば、加速度も2倍になります(空気抵抗は極小)

ここまでは高校物理の運動方程式で学びますね。

では次に、水中で同じことをやってみましょう。

空気中と同じように物体に加速度が発生しますが、周囲の水も引っ張られて同じように水にも加速度が発生をします。

その分必要な引っ張る力は大きくなります。

見かけでは、物体の重さが重くなっているように見え、このことを「付加質量」といいます。

付加質量はどうすれば大きくなる?

バシリスクについて説明する前にもう少し付加質量の性質ついて説明します。

この付加質量を大きくするにはどうすればよいでしょうか?

加速度を大きくする

まず1つ目に考えられるのは物体に与える加速度を大きくすることです。

物体の加速度を大きくすれば、その分引っ張られる水の範囲も大きくなり、より大きな力が必要となります。

そのため空気の場合と異なり、引っ張る力を2倍にするだけでは加速度は2倍になりません。さらに大きな力が必要になります。

物体の体積を増やす

次に考えられるのは物体の体積を増やすことです。

物体の体積を増やせば、それに接する水の体積も増えているので、物体に引っ張られて加速度を得る水の量も増えることになります。

なぜバシリスクは水面を走れるのか

付加質量についての説明を終えたところで、本題に入りましょう。

バシリスクはどのように水上を走っているのでしょうか。

バシリスクには水面歩行を可能にする付加質量を利用した3つの特徴があります。

順に説明をしていきましょう。

① 素早いステップ

バシリスクの足の運動はとてつもなく速いです。

1秒間に20回もステップしているとも言われています。

どのように付加質量を使っているか、図を用いて説明します。

バシリスクの足と水面を図示しました。(雑でごめんなさい)

足を速いスピードで水面に下ろすことによって、足の周りの水は大きな加速度を得ます。

水に加速度が与えられたので、水は付加質量として下方向に力を受けていることになります。

その反作用として、水はトカゲに上向きの力を与えることになります。

バシリスクは速いスピードでステップをしている為、付加質量の性質からとても大きな力を上向きに受けていることが分かります。

② 大きな足

2つ目のバシリスクの特徴は大きな足を持っていることです。

大きな足を水面にぶつけることで、加速度を得る水の体積が大きくなり、水に与える付加質量は大きくなります。

その反作用として受ける力も大きくなる為、大きい足をもつほど、水面から受ける力も大きくなります。

③ 軽い体重

3つめのバシリスクの特徴は、体重が軽いということです。

普通の小動物や人間が水面を思いっきり蹴っても、体重によって沈んでしまいます。

一方でバシリスクは体重が軽く、下方向に受ける力も小さい為、ある程度の反作用力を得ることができれば、水面を走り抜けることができるのです。

以上のように、人間も大きな足を持ち、素早くステップすることは可能なので、受ける重力を小さくすれば、バシリスクのように走ることは可能かもしれません。

まとめ

バシリスクが水面を走れるのは、付加質量を利用しているからということがわかりました。

このように流体力学の考え方を使うことで不思議な現象を説明することができます。

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