こんにちは。ケンチーです。
家で庭仕事をしているときや、学校でトイレ掃除をしているときに、ホースで水を撒いたことはありますか?
そのときホースの先を手で潰してみると、それまで水が届かなかった遠い場所にも、水が届きますね。
今回の記事では、遠くまで水が飛ぶというこの現象を流体力学の観点からわかりやすく説明していきたいと思います。
質量保存則
ホースの先端を潰すとなぜ水が勢いよく出てくるのでしょうか。
カギは「質量保存則」です。
もっと噛み砕いて言えば『流路が狭まっても、流量は同じだから』です。
図で簡単に説明していきましょう。

上図のようにホース先端から1[L/分]の水が出ていると仮定します。
このときのホース根本には1分あたり何Lの水が通過しているでしょうか?

答えは1[L/分]。
もし、入口の流量が出口の流量よりも大きければ、ホース内部の水の行き場がなくなってしまい、ホースは破裂をしてしまいます。

逆に入口の流量が出口の流量よりも小さければ、ホース内部の水が足りなくなり、そのままの状態を維持することができません。

以上から、入口と出口の流量は必ず同じになっていることがわかります。
例外はありますが、基本的にはどんな流れにおいても、流量はその流れの中では必ず一定の値をとります。
このことを「質量保存則」といいます。

もちろんホースの先端を潰しても、同じことで、入口と出口の流量は同じになっています。

なぜ水の勢いは強くなるのか
ホースの口を潰した際に水の勢いが強くなることと、質量保存則にはなぜ関係があるのでしょうか?
ホースを潰したときの図を使って、説明していきましょう。

ホースの根本部分と先端部分の断面図を図示しました。
根本部分はホースの形である円、先端部分は上下に潰しているので、歪な形をしています。
ここで注目したいのは、その断面積です。
先端の断面積は潰すことで小さくなっています。

ここで先ほど説明した「質量保存則」を思い出してください。
先端の断面積は小さくなりましたが、流量は根本部分と変わりません。

小さくなった断面積で変化のない流量を成立させるためにはどうすればよいか?
『流速』を上げるしかないのです。流速とは流れるスピードのことです。

以上の理由からホース先端から出る水の速度は速くなり、勢いが強くなるのです。
水の勢いは先端の断面積を小さくすればするほど強くなりますね。
まとめ
いかがでしたか。
普段何気なくホースの先端を潰していると思いますが、実は断面積を小さくすることで流速が大きくしていたのです。
本ブログでは他にも日常に潜む流体力学について取り扱っているので、興味があれば是非ご覧になってください。