物理

遠心力を無視? 中心に集まるお茶の葉の謎【おもしろい流体力学】

こんにちは。ケンチーです。

今回は、「中心に集まる茶葉の謎」を流体力学の考え方で解明していきたいと思います。

物理なんて無理!という人にも出来る限り優しく解説していきます。

まずどんな現象

あなたは湯呑やコップに入ったお茶をぐるぐるとかき混ぜたことはありますか?

ぐるぐるとかき混ぜることによって底に沈んでいた小さな茶葉がぐるぐる回りながら中心に集まってくる光景を見たことがあるのではないでしょうか?

ここで不思議に思うことがあります。

遠心力をご存知でしょうか?回転運動をしている物体に必ずかかる力です。

【遠心力の例】
車で急なカーブを曲がるときに、曲がる方向とは逆方向に体が傾いていく。
遊園地のコーヒーカップで外側に飛ばされそうになる。等

コーヒーカップ 遠心力

この遠心力が茶葉に働いているならば、茶葉は中心ではなく外側に広がっていくはずではないでしょうか?

なのに、なぜ中心に茶葉が集まっていくのか?

この謎を流体力学で解明していきましょう。

3つの大事なポイントで分かりやすく解説していきたいと思います。

ポイント① 回転しているのは茶葉だけじゃない

まず1つ目に大切なポイントは「回転しているのは茶葉だけではない」ということ。

では茶葉と一緒になにが回転しているのでしょうか?

そうです。お茶そのものです。

あなたがコップの中をかき混ぜることによって、茶葉もぐるぐると回っていますが、その周りのお茶もぐるぐると回っています。

そして回るということは、お茶そのものにも遠心力が働いていて、お茶もコップの外側に移動しようとしているのです。

Tea leaf

しかし、これだけでは茶葉が中心に集まる理由が説明できません。

そこで2つ目のポイントです。

ポイント② 水の移動によって圧力差が生まれる

2つ目の大切なポイントが「水の移動によってコップ内に圧力差が生まれる」ことです。

少し難しいですが丁寧に解説をしていきます。

ポイント①で述べたように、コップ内のお茶には、ぐるぐると回ることによって遠心力が働きます。

そしてその遠心力により、コップ内のお茶はコップの外側方向に押さえつけられていきます。

このような状態になることで、コップ中心付近のお茶は薄く(圧力が小さく)、コップ外側付近は濃く(圧力が大きく)なることが分かるでしょうか?

Tea leaf

このようにコップ外側のお茶は押さえつけられている状態になるので、圧力は大きくなります。

ポイント③ コップの底には粘性による摩擦がある

3つ目の大切なポイントは「コップの底には粘性による摩擦がある」ことです。

水のような流体が物体近く(今回はコップの底)を流れると、綺麗に流れるようなことは無く、必ず物体に流体は引っ張られています。

Tea leaf

これは物体の粘性というものが影響していて、空気のようなサラサラしたものは粘性が低く、スライムのようなドロドロしたものは粘性が大きいです。

水も比較的粘性が大きい流体なので、コップ底面からの摩擦力の影響を大きく受けることになります。

以上から、コップの底面近くでは水が回転する速度が小さくなっていることが分かります。

となると、コップの底に近ければ近いほど、そこで漂っている茶葉の速度も小さくなっているということです。

そして、速度が小さくなっているということは、茶葉に働いている遠心力も小さくなっているのです。

Tea leaf

なぜ茶葉は中心に集まるのか?

以上3つのポイントを踏まえた上でなぜ茶葉が中心に集まるのかを解説をしていきましょう。

底に溜まった茶葉はコップ底面に近い為、回転速度が小さく、小さな遠心力しかかかりません。

しかし、コップ内側は圧力が小さく、外側は圧力が大きいという関係は、コップ底面であってもほとんど変わりません。

Tea leaf

もう分かりましたか?

コップ底面付近の茶葉は遠心力よりも、お茶の圧力差による力が大きい為、内側に力を受けるのです。

もちろん、コップ底面から上に行くにしたがってお茶の回転速度は大きくなり、茶葉にかかる遠心力が大きくなる為、遠心力が圧力差による力よりも大きくなり、茶葉は外側に広がっていこうとします。

Tea leaf

まとめ

いかがでしたか。

普段何気なくみているお茶の中にも、流体力学に関する不思議な現象が起きているのです。

このような身近に溢れている流体力学の不思議を他記事でも紹介しているので、よかったらみていってください。

また、よくわからない点などありましたら、コメント欄に書いていただけると幸いです。