こんにちは。ケンチーです。
今回の記事は、エンジンを積まないで風の力だけで海の上を走るヨットについてです。
みなさんはヨットは風の力によって進んでいることは知っていると思いますが、向かい風の場合は風に流されて後ろに進むことしかできないのでしょうか。
実はヨットは向かい風含め、どんな風でもどの方向にも進むことができるのです。
なぜ向かい風でも進むことができるのでしょうか。
その秘密は空気の流れを見ることで解明ができます。
では見ていきましょう!
ヨットはどうやって進んでいる?
そもそもヨットは動力源を積まないで一体どのように進んでいるのでしょうか。
その答えは大きな帆を見てわかるように、風の力を利用しています。

ただ風の力に身を任せているだけでは、風の吹いている方向に流されるだけですので、進みたい方向に進むことができません。
そこでヨットは帆を使って、風の力から揚力という力を発生させて、進みたい方向に進むことができるのです。
どのように揚力を発生させているのか。空気の流れを見てみることでその謎は解明できます。
追い風の場合
ヨットにはどのように空気が流れているのか見てみましょう。
まずは追い風の場合です。

追い風の場合は言うまでもなく、風の方向に簡単に進むことができます。
風に身を任せるイメージですね。しかし、このときヨットに働いている力は揚力ではなく、抗力といいます。

ちなみに抗力を使ったこと進み方だと、風よりも速い速度で進むことができません。
風と同じ速度になった時点でヨットからみて追い風はなくなっているからです。

追い風だとスピードが出ないというのは意外ですね。
横から風が吹いている場合
続いて横から風が吹いている場合。
このとき抗力をつかっていたら、ヨットは進みたい方向に進めません。

そこで使うのが先ほどの「揚力」という力。
この力を使えば、風に流されずに、進みたい方向に進むことができます。
例えば右からきた風を帆の角度を調整して次図のように流れを変えます。

上図のような帆の角度にすることで、風の角度を変え、受け流すようにします。
先ほどまでは風の力を帆で完全に受け止めていたので、それと比較して抗力は小さくなります。
横風の場合で、もう一点大切なことは、
「風の流れる向きを変えている」ということ。

図の下方向に力を与えることで、ヨットは上方向に力を得ることができるのです。
(作用反作用の法則)
これが「揚力」です。

進みたい方向とは異なる抗力は、船底にある「キール」という部分で横流れしないようにし、揚力のみで推進していくのです。

では向かい風の場合は?
向かい風の場合についても、揚力がヨットを目的の方向に導いていきます。

上の図を見てわかるように、帆にどのような角度を与えても、進みたい方向の揚力は得られず、反対方向の抗力が発生してしまいます。
そこで使う技術が「タッキング」です。
直接的にいきたい方向に行くのではなく、斜め前に進むことを繰り返します。

上図のように風に向かって船を向けず少し斜めに進むようにします。
原理は横風の場合と同じで、揚力を使って進んでいきます。
ある程度進んだら、角度を変えて反対の斜め方向に進んでいきます。
これを繰り返して目的の方向に進んでいくのです。

まとめ
今回の記事では、「風上方向でもヨットは進めるか」の説明をしていきました。
ヨットはどんな風が来ても問題ないことが分かりましたね。ヨットにとって一番厄介なのは「無風であること」なのです。
さらに追い風が一番有利でもないことも意外です。
このように身の回りで起きる不思議な現象を流体の流れで説明することができます。
他の記事でもたくさん取り上げているので、ぜひご覧になってください。